DATA
・活動頻度/浜厚真海岸での清掃活動と水質調査を5〜10月の第2日曜日に実施。サーフスクールなどのイベントも不定期で開催 ・メンバー数/4名 ・参加資格/なし
札幌市内から車で約1時間。厚真町にある浜厚真海岸は北海道有数のサーフスポットとして知られ、シーズン中の週末には100人近いサーファーが波を求めて集まってくる。ネイチャー・デディケーションは、その浜厚真海岸でのビーチクリーン活動をはじめ、さまざまな環境保全活動に取り組んでいるコミュニティだ。 代表の山本貢さんら4人のメンバーは元々、サーファーが主体となって環境保全活動を行なう国際的なNGO「サーフライダーファウンデーションジャパン(以下SFJ)」の北海道支部の人たち。昨年春にSFJが全国の支部制度を廃止したのを受け、新たなコミュニティを立ち上げた。「10年ほど活動を続けてきて、ようやく一緒に清掃活動を行なってくれる仲間や環境に目を向けるサーファーが増えてきたところだった」と振り返る山本さんは活動を引き継ぎ、今もオンシーズンの毎月第2日曜に浜厚真海岸へ来る人へ漂着ゴミの収集を呼びかけている。 取材当日となった日曜も早朝からサーフィンを楽しむ人々が岸に上がってきてはゴミ袋を片手にペットボトルや空き缶、漁具などを1時間かけて回収。集められたゴミはただ捨てるのではなく、世界共通のICCという手法で種類を細かく分別し、そのデータを一般社団法人JEANに送り、ゴミの地域性や移動ルート、出所等の調査に役立てられている。「ゴミは海で発生するのではなく、大半は街から流れてきます。中にはロシアや韓国、果てはブラジルから流れ着くものもあり、ゴミを調べると世界や社会も見えてきますよ」。 また、同コミュニティでは、免疫力の弱い子どもや妊婦であっても安心して海に入り、サーフィンが楽しめるよう浜厚真海岸の水質も毎月調査。環境省の水浴基準検査に加え、国際環境認証のブルーフラッグ認証に適応する検査も実施し、その水質はAA〜Aという世界最高水準の水質をキープしているという。「今はサーファーが中心になって海の環境保全に取り組んでいますが、今後は山や森林、湖、河川など自然をフィールドに行なう全てのアウトドアスポーツの団体や個人とも連携していきたい」と話す山本さん。そのためにも今後は一般社団法人やNPOといった法人化を目指している。「北海道の自然をその場を利用している人たちで守っていく。そうして未来の子どもたちへつないでいけたら」との思いから、自然(Nature)への献身(Dedication)と名付けられた同コミュニティ。その活動はまだまだ始まったばかりだ。
袋いっぱいに集められたゴミは、重量を計測。さらに一旦袋から取り出し、スタッフと参加希望者で協力して、ペットボトルや漁具、空き缶など、どのような種類のゴミがあるのかを個数も含めて1時間ほどかけて調べました
アウトドアスポーツ愛好家が連携する環境保全活動を目指して
SFJ時代から山本さんと行動を共にするNature Dedicationのメンバーたち。その一人でサーファー歴10年の南仁さんは「ゴミがないのが一番いいですけど、必ず出てくるものですから。活動を続けることで、一人でも多くの人の環境への意識が高まるといいなと思います」
サーフィンの本場、ハワイではゴミ拾いが始まるとみんなが岸に上がって協力するといい、山本さんは「みんなの海をみんなで守る。そういう意識が根付いていくとうれしいですよね」